CG紹介:魔法少女、大活躍?
<シチュエーション>
夕方。なにやら、お店の外が騒がしい。
何事かと、ミカエルが街の通りに出てみると、覆面男が女の人にナイフを突きつけて、人質に取っている!
そこに、謎の魔法少女がさっそうと現れて……
………
ざわざわざわ。
…………?
ふと違和感を憶えて、僕は食器洗いの手を休め、顔を上げた。
| 【ミカエル】 |
「なんだろう、外が騒がしくないかい?」 |
| 【マリーシア】 |
「そうですねえ。あ、なんか、あっちの方に人だかりが出来てるみたいです」 |
| 【マリーシア】 |
「特売でもやってるんですかね?」 |

テーブル席から窓の外を覗くマリーシアの言葉に、反射的に時計を見る。
夕方、商店街が賑わう頃合と言えなくもないけど、それにしてもちょっと、なんと言うか『違う』雰囲気だ。
| 【マリーシア】 |
「あっ……」 |
| 【ミカエル】 |
「どうしたんだい?」 |
| 【マリーシア】 |
「あ……いえ、えと、ボク、ちょっと見てきましょうか?」 |
| 【ミカエル】 |
「いや、いいよ。僕が見てくる」 |
| 【マリーシア】 |
「あ、そう、ですか?」 |
どっちでもいいんだけど、僕の方が出口に近いしな。ちょっとだけ顔を出してみよう。

事件だ………。
通行人、と言うか野次馬の視線の先に居たのは、大勢の警備隊員と、彼らに包囲された、覆面の、多分男。
そしてもう一人、女の人が、覆面男に捕えられ、ナイフを突きつけられてる。
| 【ミカエル】 |
「大変だ………、どどど、どうしよう……」 |
いや、どうしようったってどうしようもないし、そもそも僕がどうにかするようなことでもないんだけど。けどでも。
| 【警備隊員】 |
「お前は既に、我々王都警備隊に包囲されているっ。逃げ場はないっ。すぐにその女性を解放するんだっ」 |
| 【覆面男】 |
「う、うるせえっ!そこから一歩でも近づいて見ろ、この女がどうなっても知らねえぞ!!」 |
うわー………
なんて言うか、まるで本物みたいだ……って、本物だよ!こんなの、小説やなんかだけの出来事かと思ってたから、いまいち現実感が……
と、その時……
な、なんだっ?女の子の声!?

覆面男が、焦ったようにきょろきょろと辺りを見回す。
い、一体どこから……?
などとゆっくり考える間もなく、声の主は、すぐそこの路地から普通に走って登場した。
でも格好は普通じゃなかった。
うわ、なんか派手なかっこした女の子だなあ。妙な杖も持ってるし……
| 【野次馬A】 |
「おい、あれ、最近噂の魔法少女じゃないか?」 |
| 【野次馬B】 |
「ああ、オレ、見るの初めてだよ」 |
野次馬がそこかしこで交わす噂話のお陰で、その女の子が何者なのかは、事情を知らない僕にもすぐにわかった。
魔法少女………。怪盗と言い、やっぱり王都はすごいや。いや僕の実家だって、別にものすごいド田舎ってわけじゃないんだけど。
| 【魔法少女】 |
「みんなの悲しみ苦しみ、モミ消しちゃいます。魔法少女ハミング・ハミルン、ただいま参上!」 |
魔法少女は、杖を掲げてキメポーズをつけながらそう名乗りをあげると、くるりん、と野次馬の方を振り返った。
| 【H・ハミルン】 |
「正義のためにがんばりまっす!」 |
そしてまた、すぐに覆面男に向き直る。
| 【H・ハミルン】 |
「とゆーわけでそこの悪人さんっ!すぐにその女の人を放しなさいっ!!」 |
| 【覆面男】 |
「てめえ、このナイフが見えねえのかっ!!」 |
| 【H・ハミルン】 |
「むっ、抵抗するつもりねっ!?それならこっちにも考えがあるわっ!」 |
| 【覆面男】 |
「ふ、ふざけんなっ!人質がどうなってもいいってのかっ!」 |
| 【H・ハミルン】 |
「お黙りなさいっ!話の通じない悪人さんには、実力行使あるのみっ!!」 |
いや待て。
相手の話を聞いてないって点では、どっちもあんまり大差ない気がするんだけど……。まさに問答無用って感じだ。
| 【H・ハミルン】 |
「それじゃあ覚悟おっけー!?必中ぅっ、ハミルンアローッ!!」 |
| 【覆面男】 |
「うわっ、ちょっ……ぎゃあ〜っ」 |
魔法少女の杖から放たれた魔法の矢は、人質をきっちり避けるようにして、覆面男に命中した。

倒れた覆面男に、群がるように警備隊員達が駆け寄って、あっと言う間に捕縛する。人質になっていた女の人も、すぐに保護されたみたいだ。
僕は魔法にはあまり詳しくないけど、今のが高度な術だってのは、なんとなくわかる。
さすが魔法少女って言うだけあって、すごい魔法を使うもんだなあ。
| 【H・ハミルン】 |
「イェイ! やったね!」 |
| 【H・ハミルン】 |
「それじゃあ、あたしの出番はここまでねっ!」 |
| 【H・ハミルン】 |
「明るく楽しく、元気良く。みんなもがんばっていきまっしょい! …じゃねー♪」 |
またもポーズをつけながらそう言うと、魔法少女は登場した時と同じように、駆け足でその場から離れた。
………あれだけ高度な魔法を使うのに、ぴゅーっと飛んで行ったり出来ないもんなのかな?
| 【野次馬C】 |
「いいぞー、ハミルーン!」 |
| 【野次馬D】 |
「ひゅーひゅー」 |
| 【H・ハミルン】 |
「あーりが……とととっ、うわわゎっ……!!」 |
あ、転んだ。
走ってる最中に振り向いたりするからだよ。なんて言うか、意外とドジ?
| 【野次馬E】 |
「いやー、いいもん見れたなー」 |
| 【野次馬F】 |
「なあ、俺よく知らないんだけど、今のコ何者なんだ?」 |
| 【野次馬G】 |
「新聞読んでないのか?『正義の魔法少女ハミング・ハミルン』って言ったら、最近有名だぞ?」 |
| 【野次馬H】 |
「事件が起こると今みたいに現れて、強力な魔法で解決して行くんだと」 |
| 【野次馬I】 |
「失敗も多いって話だけどな。今もなんか、結果オーライって感じだったし」 |
へええ、全然知らなかった。まあ、僕はまだ王都に来て日が浅いもんな。
………っと、つい長居しちゃった。いいかげん店に戻らなきゃ。

店内に戻ると、マリーシアの姿がなかった。
トイレかな?
一人の時は、少し我慢して欲しいんだけど……でも、僕もちょっと長く店を空けちゃったし、しょうがないか。
なんて考えていると、マリーシアはトイレではなく、出入り口から店内に戻ってきた。
| 【ミカエル】 |
「マリーシア!?」 |
| 【マリーシア】 |
「あっ……ははは、はい」 |
| 【ミカエル】 |
「どこに行ってたのさ?店を無人にしちゃ駄目じゃないか」 |
| 【マリーシア】 |
「その……ごめんなさい。ちょっと、急用で………」 |
| 【ミカエル】 |
「急用って、なんだい?」 |
要領を得ない彼女の答えに、いけない、と思いつつも、ついつい口調がきつくなってしまう。
うわ、しまったっ、泣かせちゃった!?
これじゃあ、なんだか苛めてるみたいだ。
………よく考えたら、僕だって野次馬してただけなんだし、あんまりマリーシアばかりを責めるわけにもいかないじゃないか。
| 【ミカエル】 |
「う……、もういいから、仕事に戻ろう」 |
| 【マリーシア】 |
「………はい」 |
| 【マリーシア】 |
「あの、ほんとに、ごめんなさい………」 |
| 【ミカエル】 |
「……いや、きつい言い方して、僕こそごめんよ。僕だって店を空けてたんだし、悪かったよ」 |
| 【マリーシア】 |
「でも……」 |
| 【ミカエル】 |
「もういいって。それよりさ、今日もテイスティング、よろしく頼むよ」 |
そう言って笑いかけると、マリーシアもようやく、小さく表情を綻ばせた。
………