裸足少女
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CG紹介:楽しい?朝食

<シチュエーション>
朝、和志は由仁に半ば無理やりに(叩き)起こされた。珍しく早起きした和志は自分の部屋からダイニングに行き、由仁、にゃんコと3人で朝食を食べる。一見、平和な一家団らんの光景なのだが……

………

【にゃんコ】 「おはようございます」

ダイニングでは、にゃんコがテーブルの上にせっせと食器類を並べていた。

にゃんコは23世紀から来た猫型ロボットだ。
というのは冗談で、俺の親父が勤めている某研究機関が開発中のお手伝いロボットの試作機だ。

正式名称は自律直立歩行型文化女中器とかなんとか云うらしいが、うちでは愛称の「にゃんコ」で通っている。

にゃんコをうちに連れて来た親父は、一般家庭におけるケーススタディだのデータ収集の一環だのと何やらもっともらしいことを云っていたが、実は仕事で家を空けがちな自分たち――親父と母さん――の代りに俺たち兄妹のサポート役として置いてくれたんじゃないかと俺は思っている。

もう長いこと実質的に俺と由仁の二人暮しのような状態が続いていることを親父も気にしていたのだろう。

無愛想なくせに妙なところでマメなあの親父らしい気の使いようだ。

【由仁】 「あっ!朝御飯の準備は私が全部やるっていっておいたのにー!」
【にゃんコ】 「食器を運んだだけです。料理には手をつけていません」
【和志】 「なんだ、メシはにゃんコが作ったんじゃなかったのか」
【由仁】 「…………」
【和志】 「なに膨れてんだお前」
【由仁】 「朝御飯は!毎日わたしが作ってるの!」
【和志】 「……なんでまた。にゃんコに任せればいいだろうに」

そういえばここ数日、由仁が朝から何かごそごそやっているらしいのは知っていたが。あれは朝飯を作っていたのか。訳のわからない奴だ。何の為のお手伝いロボなんだか。

【由仁】 「お兄ちゃん、私が云うこと全然聞いてないんだね……」
【和志】 「あ?」
【にゃんコ】 「あのー、テーブルセッティング完了しました」

俺が由仁に訊き返そうとしたところで、にゃんコがそう俺たちに声を掛けた。

【和志】 「おお……」

ダイニングからはなにやら食欲をそそる香りが漂ってくる。見ると、俺にとっては久しぶりに目にするまともな、というか豪勢な朝食が用意されていた。

 湯気を立てるコーヒーと焼き立てのつやつやとしたベーコンエッグ。香ばしい匂いをさせるこんがり狐色に焼けた厚切りトーストの上ではバターが溶け出している。

 テーブルクロスの上には大の甘党である由仁お気に入りのジャムやママレードの瓶が並び、さらにガラスのボウルに盛大に盛りつけされたフルーツサラダとヨーグルトが鎮座ましましている。とどめに食卓の中央には広口の花瓶にいけられた花までが飾ってあるという気合の入りようだ。

夢の中の少女
 
【和志】 「すげ……」

俺は思わず感心して唸ってしまった。うーむ。

 由仁の云う通りこれが人間らしい文化の香り漂う朝の食卓というものなのかもしれない。気のせいか室内の空気までもがすがすがしく感じられる。なんというかこう、朝だ、やるぞっていう感じ。

 ――うん。こういうのも、たまにはいいかもな。

 俺はそうひとりごちながら、つけっぱなしになっているTVの画面を何気なく眺めた。TVでは野暮ったいレオタード姿の姉ちゃんがラジオ体操を

 ……ラジオ体操? 

【和志】 「ちょっと待て由仁」
【由仁】 「え、何?」
【和志】 「今、何時だ」
【由仁】 「えっと、6時15分。あ、もう20分だよ」
【和志】 「……目覚まし時計は8時にセットしておいたはずだが」
【由仁】 「あ、うん。なかなか起きないから耳許で鳴らしちゃった」
【和志】 「つまり時計の時間を細工したと」
【由仁】 「細工なんかしてないよ?ちょっと早めに鳴らしてみただけ」

てへ。そう云って由仁は小首を傾げながらちらりと舌を出した。お前、それで誤魔化したつもりか?

【和志】 「由仁、ちょっと来い」
【由仁】 「え、何、なに?」
【和志】 「お前は〜〜〜!」

俺は両拳で由仁の頭を挟むと、力を込めてこめかみをぐりぐりと抉り回した。由仁はこれが大の苦手なのだ。

【由仁】 「わ〜〜、やだやだやだやだやだっ」

逃げ出そうとする由仁を両手でしっかり捕まえて、更に力をいれてえぐりまわす。ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。

【由仁】 「痛い痛い痛い痛い痛い!お兄ちゃん離して!」
【和志】 「ど〜〜〜〜ぉして、そういうことをするかなこの子は〜〜?」

ぐりぐりぐりぐりぐりぐり。

【由仁】 「だって、だって…」
【和志】 「あー?だってなんだ」
【由仁】 「だって朝ご飯一緒に食べたかったんだもん……」

そう答えた由仁の思いがけず真剣な声に、俺は手を離した。なんだって?

【由仁】 「いつも時間が無いからって、御飯食べてくれないんだもん。だから早起きすれば一緒に食べられると思ったから……」

由仁が拗ねた目で俺を見上げる。ええい、そんな目で見ても駄目だ。俺の貴重な睡眠時間を奪った罪は万死に値する。

【由仁】 「私が頑張って朝御飯作ってもお兄ちゃん全然食べてくれないし」
【和志】 「当たり前だ。そんな時間は無い」
【由仁】 「せっかくお兄ちゃんの好きなもの一杯作ってるのに」
【和志】 「いや、好き嫌いの問題じゃなくてだな、朝の貴重な睡眠時間を……」
【由仁】 「卵だってちゃんとやわらかめの半熟にしてるし、ベーコンはカリカリになるまで焼いてるし、コーヒーはモカにマンダリンをちょっと混ぜたののブラックだし、パンだって6枚切りじゃなくお兄ちゃんの好きな4枚切りの厚いやつ買って来てるのに」
【和志】 「う……」
【由仁】 「お兄ちゃんいっつも朝ご飯抜きだから、もっとちゃんと食べてくれるように美味しくて栄養のあるもの出そうって、そう思って一生懸命作ったのに」
【和志】 「いや、その……」
【由仁】 「それでも全然食べてくれないから、もしかしたらお兄ちゃんの好きなものだけ作ったら食べてくれるかなって、そう思って、私、それで……」
【和志】 「あ、あのな、由仁」

見るといつのまにか、にゃんコが由仁の肩を抱いて頭を撫でている。どうみても俺一人が悪者、という図だ。

【にゃんコ】 「あの、やはり朝食の支度は私が――」
【由仁】 「駄目っ!」

由仁がふるふると首を振る。

【由仁】 「お兄ちゃんの朝御飯は私が作るのっ!」
【にゃんコ】 「しかしこれでは由仁さんの負担も馬鹿になりません」

そう云ってにゃんコが俺を見る。そして何を思いついたのか急にポン、と両手を打ち鳴らした。

【にゃんコ】 「どうでしょう。いっそのこと和志さんには時間の許す限り睡眠をとっていただいて、就寝中にブドウ糖溶液を静注して朝食の代用にするというのは」
【和志】 「……頼むからそれだけはやめてくれ」

俺は寝ている間に薬液を注入される自分の姿を想像してげんなりしながら云った。なんだって毎朝そんな半病人みたいな目に遭わされなければならんのだ。

【にゃんコ】 「大丈夫です。最新の医療用プログラムをインストールしますから。痛くありませんよ」
【和志】 「却下だ却下」
【にゃんコ】 「痛くしませんから。最初だけ。ちょっとチクってするだけです」
【和志】 「いや、だから注射はいいってば。それより由仁」
【由仁】 「お兄ちゃんの馬鹿!ねぼすけ!おたんちん!」

俺が声を掛けると由仁がにゃんコに抱きかかえられたまま涙目になって俺をじとっと睨む。ええい、もう。

【由仁】 「でべそ!唐変朴!ちんどん屋!いんきんたむし!」
【和志】 「わかった」
【由仁】 「……え?」

一瞬、きょとんとした顔をする由仁。……誤解の無いように云っておくが、別にでべそやインキンタムシに同意したんじゃないぞ。

【和志】 「これからは早起きしてちゃんと飯を食ってから学校に行く。それでいいだろ?」
【由仁】 「………本当に?」
【和志】 「ああ。本当だ」
【由仁】 「約束する?」
【和志】 「する。約束するから」
【由仁】 「絶対だよ?」
【和志】 「わかってる。男に二言は無い」

ぐしゃぐしゃと音を立てて由仁の頭を撫でてやりながら俺は云った。

 由仁は暫らく俺の顔をじっと見上げていたが、やがてようやく納得したのか、赤くなった眼を両手で擦りながら「えへへ」と小さく笑う。

 やれやれ。どうも俺は由仁に駄々をこねられると弱い。幼馴染のしのぶによくそれをネタにからかわれるぐらいに弱い。

 けどなぁ。由仁にこんな顔をされてしまっては他にどう答えようも無いじゃないか。しのぶの奴、一度、俺の代わりに由仁に泣きつかれてみろってんだ全く。

 ……まぁ、いいか。少なくともブドウ糖注射よりは早起きのほうがまだなんぼかマシだ。

【にゃんコ】 「それはそうと、とりあえずお食事にしませんか?冷めてしまいます」
【由仁】 「うんうん。ほら、お兄ちゃん、はやく食べよう」
【和志】 「うー眠ぃ」
【由仁】 「なによぉ、とってつけたみたいに」
【和志】 「今が6時だとわかった途端に眠くなった。まだ夜じゃないか」
【由仁】 「もう7時近いもん。朝だもん」

ぷぅ、と頬を膨らます由仁を見ながら俺はテーブルにつき、トーストを手にとって一口齧った。

 む、絶妙の焼き加減。美味い。しかし美味いのがなんか癪に障る。見ると由仁が期待に満ちた顔でこちらをじっと見詰めている。

【由仁】 「美味しい?」
【和志】 「なんだかパンみたいな味がするな」
【由仁】 「……それ、パンだもん」
【和志】 「うるせ。黙って食え」

俺はパンとベーコンエッグとサラダを無理矢理まとめて口に入れると一気にコーヒーで流し込んだ。

【由仁】 「ああっ!もっと味わって食べてよー!」
【和志】 「はい、ごっそさん」

俺はそそくさと席を立った。由仁が何か文句を云っているが聞こえないフリをする。大体、あんな目で逐一見られながらメシが食えるか。

【にゃんコ】 「和志さん、急いで食べると消化に悪いですよ?」
【和志】 「いいんだよ。早食いも芸のうち、つーてな」
【にゃんコ】 「でもちゃんと八十八回噛まないとお百姓さんに申し訳無い、と以前に由仁さんが……」
【和志】 「それは米を食うときだっての」

――と、そのとき。

………

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